お茶の選び方
Chapter.03 お好みのお茶を選ぶために
お茶の蒸し加減
お茶を選ぶ時に知っておきたい事があります。
その一つが茶葉の蒸し加減。生の茶葉をお茶にする一番最初の工程です。
茶葉の特長を生かす為の蒸し加減が、お茶の味を左右します。
緑茶独特の行程“蒸し”
お茶の加工工程の一番目が、生の茶葉を蒸す事。この工程でお茶の酸化酵素の働きが止まります。それによって茶葉の緑色が残り、緑茶となります。同じお茶の葉を使って製造する紅茶や烏龍茶にはこの工程がない為、緑色が残らず褐色のお茶となります。“蒸し”の工程は緑茶独特のもの。それが緑茶の香や旨味、水色を作り出しています。
当社のお茶は、
やや深蒸し茶の系統に属します
深蒸しする分、細かい茶葉が多くなりますが、渋みが少なくコクのあるお茶に仕上がります。細かい茶葉がお好みではない方は浅蒸し煎茶や極浅蒸し煎茶をお求め下さい。
深蒸し煎茶
深蒸しの特徴
- 渋みが少なく、濃厚で深みのある旨味が楽しめます。
- 水の良し悪しに左右されにくいので入れやすく飲みやすいお茶です。
深蒸し茶は渋みが少なく、まろやかな旨味が特徴なので一般的に美味しいと感じやすいお茶です。カルキ臭などにも強く、水の良し悪しにこだわる必要がありません。 長く蒸す為茶葉が砕けやすくなり細かな茶葉の多いお茶となりますが、茶葉の見た目を気にされなければ、入れやすく飲みやすいお茶です。
旨味を引き出す蒸し方
生茶葉を長めに蒸すと、旨味がましてさらにまろやかな味わいが楽しめます。当社のある掛川地方では昭和50年代に深蒸し製法を確立、濃い旨味を手軽に出しやすいことから人気となり、深蒸し茶が全国に広がっていきました。
煎茶(当社標準蒸し)
煎茶の特徴
味と香りのバランスのとれたソフトな口あたり。何杯でも、どなたにでもおいしくお飲みいただけるお茶です。高級な煎茶ほど香りのバランスが良く、甘味やビタミンCも豊富に含まれています。
旨味を引き出す蒸し方
当社の煎茶(当社標準蒸し)は一般的な蒸し時間よりもやや長めの蒸しをしております。深蒸しと浅蒸しの美点をバランスさせた、味わいと旨味を楽しめる当社独自の蒸し加減です。
浅蒸し煎茶
浅蒸しの特徴
「深蒸し煎茶」に対して、当社標準蒸しよりも短く蒸したお茶を当社では「浅蒸し煎茶」と呼んでいます。深蒸しと比べ、お茶本来のコクと香りが残る一方で、さらりとした飲み口なのが特徴です。
極浅蒸し煎茶
極浅蒸し茶の特徴
- お茶本来の甘渋みのある味が楽しめます。
甘渋みが長く印象に残る、昔ながらのお茶の味わいを求めている方にお勧めです。ぬるめのお湯で甘みを、熱めのお湯で渋みを、と入れ分けられます。水の良し悪しに影響を受けやすいので、カルキ臭などをよく抜くことをお勧めします。
伝統の蒸し加減
昔から全国に伝わってきたお茶の蒸し方で、「お茶を蒸す」といえば、時間にして20秒程度のこの蒸し方が普通でした。山間の茶畑で育った茶葉に適した蒸し方です。
川霧そだち
手揉み風 極浅蒸し煎茶
「手揉み風極浅蒸し煎茶 川霧そだち」の茶葉はさらに細よれの茶葉です。手揉みで製造される茶葉は「針のような茶葉」と表現されますが、まさにこのような茶葉を言います。
火香のお話
一般的にお茶のランクが下がると生葉の香りも弱くなっていきます。
これに対してランクが下がるにつれ火香(ひか)を強く付ける傾向があります。
二種類のお茶の香り
お茶の代表的な香りには二種類あります。
一つは新茶に代表される、お茶本来の香り。もう一つが製茶仕上げ工程の乾燥火入れで醸し出される火香です。熱を加えることで50種類以上の成分が生成され(加熱香気と言います)独特の甘い香りが生まれます。本来、この二つの香りが渾然一体となり、お茶の香りとなります。
ペットボトルなどの緑茶ドリンクでは比較的火香の強いお茶が使用されているようです。
生葉の香りと火香のバランス
仕上げた煎茶は最終工程の火入れが行なわれ、茶葉の青い香りと火香がほどよく混じってお茶の香りとなると書きましたが、茶葉の青い香りが好みの方、火香の甘い香りが好みの方などの為に、火入れ時の強さを変えたお茶を用意しています。
当社であえて”新茶の香り”と称しているのは生茶葉の香りです。したがって火香をあえて弱くしています。生茶葉の香りは柔らかい青さを含んだ弱くデリケートな香りです。一方、火香はプンとかおる香ばしい甘い香りです。したがって火香を強く入れると、生茶葉の香りは火香に負けてしまい、あまり感じられなくなります。
この点から新茶の新鮮な香りを楽しんでいただく為、「限定新茶」などは火香をあまり強くつけません。結果、総合的な香りの強さは柔らかいものとなります。年間お買上頂いているお茶の香りと比べて弱く感じるのはこの為です。
いつものお茶の香りを求めている場合は、年間商品の新茶予約をして頂くか、「限定新茶」の中では火香をやや強めに入れた「香仕立て」をお試しください。
生茶葉の香りを楽しむ「荒茶風味」
火を入れる前の荒茶はほとんど生茶葉の香りのみです。
当社ではこの香りを楽しんでいただく為に「荒茶風味 緑」をご用意しています。